世間は狭いというかなんというか



 わしは田舎が好きである。電車に頼らずとも車で快適に(←ここ重要)移動出来る環境。自然が目の前にある環境。昔ながらの商店や神社、仏閣がある環境。都会の人間が失ってしまった、人と人との繋がり。それら全てが田舎には生きている。とはいへ、田舎の唯一の欠点は、人と人との繋がりが「濃すぎる」ことにある。この考え自体が、わしが都会の考え方に染まってしまったものかもしれない。しかし、その考えには二つの幼児体験が関係しているのだ。

 あれは、わしが幼稚園児だった時。近所に住んでいた小学生のおねえさん二人(当時)に連れられて、自転車でちょっと遠出した。その時に国鉄(当時)の踏切を渡ったのを覚えている。普段、幼稚園へ通うバスからは何度も見ていたのだが、自分の足で渡ったのは初めてで感動したものだった。しかし、その日の晩に、親からこっぴどく怒られた。誰かが国鉄の踏切を渡っているところを見ていて、親に報告したらしい・・・。
「おたくの息子さん、国鉄の踏切のとこにおったよっ!」
こんな感じだろうか・・・・。
当時は「スト権スト」という言葉があり、たまたまストで国鉄が動いていなかった日だったらしい。幼少の身に「スト」の意味などわかるわけもなかったが、とりあへず記憶に残っている言葉は、
「たまたまストやったからよかったけど、踏切に行くなんてとんでもないことやよっ!」

 その後、小学生になったわしは、放課後・・・とは言っても午後2時頃、今度は近くの川の堤防に出かけた。で、堤防の上から川を眺めて、街へ下って行くところで、近所の電気屋さんのトラックとすれ違った。今でも覚えている。B110型のサニートラックで、水色、白色、赤色の三色に塗ってあったものだ。その日の晩、やはり親から怒られた。
「日曜日は堤防に行ってもいいけど、普通の日に堤防に行ったら車に轢かれるよっ!」
親の言うことはもっともである。当時の堤防は、日曜日はサイクリングコースとして歩行者天国状態だったが、平日は自動車の抜け道として車が大量に走っていたのだ。そんなところへ小学校低学年が出かけるのは自殺行為以外の何物でもない。とはいへ、当時のわしが思った事は、
「なんで電気屋のおじちゃんは、そんな話をしたんだろう?」

 こんな幼児体験に始まって、とにかく地元での行動は一瞬で広がってしまうということは何度も経験した。たとえば、花火大会に、仲の良い女の子と出かけようものなら、次の日には学校中の噂になってしまう。高校時代にでしでかしたアホな言動が、いつのまにか親の耳に入っている。ちょっと繁華街へ出かけようものなら、必ず知り合いと出会う。そんなことは日常茶飯事であった。人口40万の地方都市なので「田舎」という表現は不適当かもしれない。とはいへ、それでもこんなことが頻繁に起きるのは、やっぱりある意味田舎なんだろうな〜と思っていた・・・。

 しかし同じような事が東京でも起っちゃうんだよね。それも自分の行動範囲内じゃなくって、滅多に行かない場所とかへ行った時に限って(苦笑)。偶然というか世間は狭いというかみなの行動パターンが似てるというか、週末だけで三件もそんなことがあったら、そりゃそうも思いたくなるよな ヽ( ´ー`)ノ。
さもなくば、わしが公安かMI6かKGBに密かに狙われているかの、どっちかだな(苦笑)

Posted: Mon - May 17, 2004 at 01:06 AM          


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