April 2003アーカイブ

個人タクシー

 夕べ仕事帰りに違う街まで飲みに行って、帰りはタクシーを使った。いつもタクシーを拾うときは個人タクシーを選ぶようにしている。法人タクシーで一定の年数を無事故無違反で勤め上げないと独立出来ない個人タクシーは、車もサービスもグレードが高いからだ。川崎では馴染みの個人タクシーを何軒か知っているので、電話で呼び出すのだが、今回は見知らぬ街。駅前のロータリーに行ってみると、ちょうど個人タクシーが先頭に止まっていた。
「らっき~~~♪」
と乗り込んだタクシーが悲惨だった。

 かなりのお歳を召したおじいさんが運転するセドリック。ドアの前に立ったが、開けてくれる気配はない。ドアをノックしたら、びっくりしたようにこっちをみて、開けてくれた。ぼ~っとしていたのだろうか・・・。席に着いてベルトを締め、行き先を告げたが、発車してから妙に揺れ、騒音も激しいことに気づいた。そんなに古い年式の車でもないのに・・・と思い、運転手の足元を注視してみると、アクセルを煽ったりゆるめたりする運転をしている。乗り心地も悪くなるし、エンジンにも優しくない最悪な運転方法だ。
「どうやって行かれますか?」
運転手の問いかけに、
「一番早く着く方法でお任せします」
と言っておいた。あちらはプロだから、一番早く着く方法を熟知しているだろうし、高速を使えば売り上げも増えて嬉しいだろうと思い、いつもこの言い方をしているのだ。

 やがてタクシーは高速道路に入った。そこにたどり着くまで、ウィンカーを100m以上手前から出したり、一旦停止も変に手前で止まったりと、不審な運転を続けながらも、「まぁお年寄りの運転だから」、と納得させながら乗っていた。そして加速車線。相変わらずアクセルを煽ったり緩めたりしながら全然加速しない。本線に合流したときは60km/h。制限速度は80km/h。幸い道路は空いていたので、後ろから車が来る気配はないが、身が縮まる思いがした。

「私は海軍にいたときは云々」
という運転士の雑談に、その人が70歳を過ぎてることが分かった。いくらお年寄りとはいえ、高速でこの速度は怖い。適当に相づちを打ちながらメーターを注視していたが、全然加速する気配はない。やがて道路は下り坂に。すると自然にスピードが上がり、100km/hくらいまで加速。前の車に近づいてくる。しばらく煽った状態になってから、右側を走るトラックの通過を待って追い抜いた。
「トラックは走るの速いよね~」
『ていうか、あんたが走るの遅すぎるんだよ』
と言いたい気持ちを抑えながら適当に相づちを打った。メーターから目を離してみると、ライン取りも怪しく、妙に右寄りを走っている。右車線から追い抜いていくトラックに接触するんじゃないかと冷や冷やした。

 やがて高速道路を降りた。
「高速道路は速いね。あなたの行き先に行く人をよく乗せるけど・・・」
と言ってきたので、てっきりそこまでの土地勘があるのだろうと思っていた。ところが、車は延々と市街地を走り続ける。高速なら近くのインターに行けるのに、
「一番早く着く方法」
というのを理解してなかったのか? そして車はJRの駅前に出た。
「この駅からすぐだよね?」
あまり土地勘はないのだが、とりあえずその駅の反対側に出ないと目的地には着けない。周辺に踏切もなさそうだ。どうするのだろうかと見ていたら、どんどん狭い路に入っていく。やがてやってきたT字路。左は幅員1.7mくらい、右は2.0mくらい。どう考えても3ナンバーのセドリックでは曲がるのが辛そう。そこを何のためらいもなく左に曲がろうとする。
「ここ、曲がれるんですか!?」
と思わず聞いたが、運転手は自信ありげに切り返しを繰りかえしながら曲がろうとした。しかし数回繰り返したところで断念。中途半端に左斜めを向いてしまった車を今度は逆方向に切り返して、なんとか右折。そこから一方通行に沿って、曲がって曲がって曲がっていったら、元の場所に戻った。
『どうなってんねん!? 本当に土地勘あるんか?』

 そこからさらに狭い路をゴチャゴチャ走って、なんとか踏切を発見。これを渡るが、なぜか踏切の真ん中で急ブレーキ。寿命が縮まりそう(;_;)。踏切を渡ったところは国道だった。トラックが右から左から行き交う路で、右折禁止。そこを無理矢理右折しようとしてる。
「ここ、右折禁止やないんですか?」
「大丈夫大丈夫。そのうち車は途切れるから」
自信ありげに言うが、右から来る車が途切れたとたんに左を見ずにじりじり出てくるし、左の車が途切れたとたん、またじりじり出てきて車線を半分近く塞ごうとするし、乗ってる方は溜まったもんじゃない。やがて車の流れが止まった。というより、そばにあった歩行者用の信号が変わったために流れが止められ、その隙に国道へ出てきた格好だ。ここで歩行者がいなかったら、いつまで経っても待ってたんちゃうか?

 で、国道まで出てしまえばこっちのもの。注意してみてると、左折しないといけない場所で直進しようとするし、直進でいい場所で、
「ここを右だよね?」
と聞いてくるし、もうダメダメ。なんとか家の近くまで来て貰ったけども、そこでも道路の真ん中にハザード出して止まるし・・・。昼間だったらどうするつもりなんだろ!? で、極めつけは、6310円の総額に11310円を出したら、お釣りが4000円。きっちり訂正して5000円貰ったけど、理解できなかった模様。降りがけに思わず、
「お気を付けて」
と声かけてしまったよ(苦笑)。

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