マスコミ不審



 こないだの脱線事故以来、ニュースを見ているんだが、最初は事故の深刻さ、重大さを検証していくという意味で興味深く見ていたが、そのうち被害者の家族が引き裂かれたとか、被害者はたまたまその電車に乗って事故にあったとか、たまたま乗り遅れて助かった人だとか、そういう話題になってきてニュースを見る気がなってくると同時に、JR西日本叩きが出てきた。

JR西日本でまたオーバーラン。脱線事故以来5日連続11件目

とか、

JR西日本、社員に「箝口令」

とか。

 前者に関しては、今回の事故の本質はオーバーランではなくて、無理なダイヤ編成が問題なわけで、奈良線みたいに15分に一本しか電車がないところのオーバーランをいちいちニュースにするのかと。6両編成の新幹線が4両の位置に止まったから、即事故に繋がるのかと。そんなに今年の流行語大賞を「オーバーラン」にしたいのかと。マスコミを問いつめたい(苦笑)。

 後者は「箝口令」でもなんでもなく、一企業の社員がむやみやたらに「コメント」をすると、マスコミが勝手に記事にしてしまうことを防いでいるわけで、どこの会社でも社外での会話に注意するというのは極めて普通だと思うのだが。会社の建物から出てきたところでマイクを突きつけて、自分たちに都合のよい内容を口走ろうものなら、それを都合よくカットして編集してニュース素材にしてしまうのは、ほかならぬマスコミ自信なのだが。そういう「恣意的」な情報操作を防ぐため、ひいては変な噂や「風説の流布」や産業スパイから企業を守るために、常識的なことを再認識しただけだとしか思えないのだが、それをわざわざニュースにするの? それによって「隠蔽体質」が強調されるの? 一般的な会社だったら対外的のみならず、社内でもそういう「言葉尻をとらえる」ようなことが日常的に行われているという現実があるんだけど、仮にも「マスコミ」を名乗れる大きな会社だったらそれくらいわかるだろうに・・・。その上で、「箝口令」なんて言葉を使っているとしたら、それはよっぽどおめでたいヤツか、公務員並に危機感のない仕事をしているヤツだとしか思えないのだが。それともマスコミ関係者は取材内容とか制作中の番組とかの話を知り合いや見知らぬ人に喋りまくるんですか。そうですか。

 で、今朝見てた「とくダネ!」。JR西日本の会見がしどろもどろの二転三転している事を見せたかったようだが、会見場の記者が明らかに「隠蔽体質」という言葉を西日本の担当者に言わせようと誘導しているのが明らか。会見場の「部長」という肩書きの人間に向かって、

「『隠蔽体質』ということなんですね? それで間違いないんですね? それならそう言ってください」

と詰め寄る記者。苦渋に満ちた表情で「隠蔽体質」と言わされるJR西日本の「部長」。そこで待っているものは「隠蔽体質認める」という文字が躍る新聞記事のみ。なんてわかりやすい誘導尋問なんでしょう(苦笑)。

 しかしこの記者の口調、なんか聞き覚えがあると思ったら、以前担当したことのあるお客さんの口調にそっくりだった。あの時はお金を払って、ものを買っている客だからとはいえ、こちらがお客様に品物を納める立場だったからといえ、あんな口調で罵るようなことはしたくないな〜と思ったモノだが、今回の記者vs西日本はどういう関係なんだ? 記者が被害者だとかいうならともかく、被害者の気持ちを代弁しているとは到底思えない揚げ足取りな質問。まして両者の間に利害関係など全くない。JR西日本をサンドバッグにして、たたいてたたいてたたいてたたいて埃を出し尽くそうとしているような質問。埃のない物なんて世の中に存在しないのにね(苦笑)。所詮、センセーショナルなニュースにしたいが為に、あれこれアラを探しているだけの取材としか見えず、見ていてとても気分が悪くなってきた・・・(-_-;。

Posted: Fri - May 6, 2005 at 09:03 PM          


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