帰りがけにお客さんのところへ届け物をすることになった。時刻は夜10時半。雨が降る中を家とは逆方向の電車に乗り、お客さんのところの最寄り駅で降りる。すっかり人気 (ひとけ) がなくなった商店街を抜け、お客さんの事務所前のポストへ届け物を入れてきた。
で、帰り道。最寄り駅で家の方へ行く電車を待っていた。時刻表を見ると、18分に急行があるらしい。時刻は午後11時13分。五分ほどしたら来るはず。やがて特急が通過していった。その後に来るだろう急行を待って乗車位置で待った。二分近く経ったが来ない。さらに待ってみる。来ない。時刻表を見直してみた。18分の急行は10時台の話で、11時台には普通しかなかった
諦めて、ていうか選択肢がないので普通で延々と帰ることになった。途中、あまりに腹が減ったので、会社近くの駅で一旦降りて吉野家へ行くことにした。平日だというのに、呼び込みが多い。それも冷たい雨が降っているというのに。相変わらず汚い街だ。吉野家に入ると、カウンター右手側にはインド系の外国人二人。その向かいには機嫌良さそうな老人がだらしなく座り、外人相手に話しかけていた。酔っぱらいだろうか。俺はそんな様子を避けるように、別のカウンターに座った。いつもの様に特盛りを頼んだが、なにか生ゴミの腐ったような異臭がすることに気付いた。ほどなく、外人をからかっていた老人の声が大きくなった。なんか、一人で怒鳴ってる。俺はその様子を盗み見たが、直後その老人が、
「なんだ、このオヤジ!」
とか叫び始めた。こいつアル中か? それと同時に、奥から店員が飛び出し、その老人を外へ連れだした。それと同時に異臭も消えた。どうやら老人は浮浪者だったらしい。その老人、俺が食べてる最中にも再び乱入してきたが、すぐさま店員に追い返された。奥に二人居た店員も、皆呆れた様子だった。
会計を済ませて店を出ようとすると、警官が二人やってきた。
「あれ? もう居ないの?」
警察も慣れた様子で、浮浪者が居ないことを確認すると外へ探しに行った。表には白いバンが一台止まっていた。しつこい呼び込みを無視しつつ駅へ向かうと、先の浮浪者がラーメン屋の屋台に絡んでいた。
なんて街だよここは!? こんな出来事って、TorontoのBloor West (Torontoで一番ヤバイ地域)にあるCoffee Timesに迷い込んで黒人に絡まれて以来だよ。この街って日本か? ほんと、関東の天王寺やな、この街は!
大阪にいたときには、俗にガラ悪いと言われてる大阪環状線の西半分にあるオフィスで勤めていたわけだが、あっちの方がよっぽど平和な街に思える今日この頃。