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24時間テレビで思ったこと

日テレ系がやっている毎年恒例の24時間テレビ。かつては日本各地でイベントがあって、子どもたちが一円玉をたくさん抱えた瓶を持って募金に行って、ある種のお祭り的なチャリティー番組だったが、近年はこの時期になると、

「24時間マラソンが実は途中でワープしていた」とか、
「出演者には高額のギャラが支払われていた衝撃の事実!」とか、
「明石家さんまが24時間テレビのギャラを寄付しようとしたらスタッフから拒否されたから出演やめた」

とかいうコピペが出まわる、ある意味炎上商法的な盛り上がり方をする番組。

個人的に民放はほとんど見なくなったので、24時間だろうが27時間だろうが、Twitter上で盛り上がっている様子で内容を知る程度だったのだが、今回は出先でたまたまテレビが点いていて、そこでたまたま流れていたのが24時間テレビだったので、見るともなくチラ見していた。

やっていたのは生まれつき脚がない日本人の女の子が苦労する話。そこからアメリカ在住の、同じく脚がないパフォーマーが紹介されて、そのパフォーマーがスタジオに登場。さすがプロのパフォーマーだけあって、素晴らしい笑顔とトーク。そしてリアルにパフォーマンスを行う。

流れてきたのはアナ雪の大ヒットでお馴染みな “Let It Go” のインストバージョン。両脚がないことを感じさせないパフォーマーは、天井から吊るされた布に両腕を巻きつけて、スルスルと登っていく。ディズニーシーでやっていた「ミスティックリズム」のワンシーンを思い起こしながら見ていたら、画面が切り替わり、そのパフォーマーが幼少の頃から苦労して練習しているシーンになった。それもご丁寧にタレントのワイプ付き。音声はそのまま会場で流れてる Let It Go のインストのまま。

もうこの時点で見る気を失くした。いや見たくて見ていたわけじゃないけど、これはあまりにパフォーマーに対して失礼。

音楽に載せたパフォーマンスというのは当然、一曲の間に全身を使って全ての表現を行っているわけだ。それを途中でぶった切って BGM だけにして、幼少の練習シーンを流す意味は何?
浅田真央や、古くは伊藤みどりが生放送でスケートを披露しているとして、その滑る様子をぶった切って、小さいころの練習シーンを入れるか? いや入れないだろ?

百歩譲って番組の構成上、パフォーマンスを削っても練習シーンを紹介する必要があったのなら、タレントのワイプを入れる部分にパフォーマンスを入れるべきでは? 全身全霊を傾けたパフォーマンスをカットしてまでタレントの表情をわざわざワイプを入れる意味が全く無い。そんな安っぽい演出で、
「障害を抱えている人もがんばっているんです」
というお涙頂戴な感動が与えられるか? 鼻水も出んわ。障害を乗り越えてパフォーマンスをしている人間に対して失礼だわ。

ほどなくチャンネルが変わったので、それがどういう結末になったかはわからんけど、「24時間テレビ」という大枠以前に、番組制作のフォーマット自体がおかしなことになっていると感じた出来事だった。